CRISPR技術、遺伝子治療、ゲノム編集の最前線
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CRISPR治療の最新動向をまとめました。CASGEVYの日本承認審査が進んでいますが、コスト面の課題も含めて、患者さんへの説明が重要になってきます。
Nature Biomedical Engineeringに掲載。LLMを活用したCRISPRガイドRNA設計ツール。実験計画の立案からオフターゲット予測まで、研究効率が劇的に向上する可能性。我々のラボでも早速試してみます。
www.nature.com
ベース編集(Base Editing)技術が急速に進歩しています。従来のCRISPRと違い、DNA二本鎖を切断せずに一塩基を変換できるため、オフターゲット効果が大幅に減少。鎌状赤血球症の治療で画期的な結果が報告されています。
Nature Medicineに掲載されたCRISPR治療の臨床試験レビュー。鎌状赤血球症、βサラセミア、がん免疫療法など、複数の領域で臨床段階に入っています。特にCASGEVYの承認後、後続パイプラインの開発速度が上がっている印象。日本での展開はまだ先ですが、規制当局の動きも注視したいところです。
www.nature.com
先週の日本遺伝子細胞治療学会でポスター発表してきました。ベース編集の効率改善に関する研究です。他の研究者との交流も刺激的でした。
ベース編集技術の精度向上に関する最新論文。従来のCRISPRと違い、DNA二本鎖を切断せずに一塩基を変換できるため、安全性が大幅に改善。臨床応用に向けた重要なマイルストーンです。
www.nature.com
先週の学会でベース編集の効率改善に関するポスター発表をしてきました。他の研究者との交流も刺激的でした。特にin vivo deliveryの課題について活発な議論ができました。
夫が遺伝性血管浮腫(HAE)で、月に数回の発作と一緒に暮らしてきました。 Intelliaのlonvo-zが第3相で発作87%減という記事を読んで、正直すこし泣きそうになりました。1回の点滴で済むかもしれない、というのは今までの定期注射の生活からするとちょっと想像がつかないくらいです。 まだ日本で使えるわけではないと理解していますが、こういう治療が前に進んでいること自体が励みになります。同じ病気のご家族の方、いらっしゃいますか。
今回のHAEの話、体の中で直接編集してこの数字が出たのは正直驚きました。 これまでex vivoで細胞を取り出して戻す方法が主流だったので、点滴一回というのは患者さんの負担がまるで違いますよね。 オフターゲットの長期データがこれからどう積み上がるかは気になるところですが、一つの節目だと感じています。皆さんはどう見ていますか。
発作で急にむくみが起きる難病とのことですが、調べてみると喉に出ると呼吸にも関わるんですね。 予防薬を定期的に打ち続ける生活から解放される可能性があるというのは、当事者にとっては大きな話だろうと想像します。 日本での展開時期が未定なのが少しもどかしいですが、続報を待ちたいです。
【ニュース】 Intellia Therapeutics(米)が、遺伝性血管浮腫(HAE)を対象としたCRISPR治療薬「ネクサガジーン」のグローバル第3相試験「HAELO」で主要評価項目を達成したと発表した。同社は2026年第4四半期から米FDAへのローリングBLA(生物製剤承認申請)を開始する予定。 【何が起きたか】 HAEは、毛細血管から血漿が漏れて顔・喉・腹部などに激しい腫れの発作が起きる希少疾患。今回の試験では、肝臓のKLKB1遺伝子をin vivoでCRISPR編集する一回投与で、月平均の発作回数を約87%減らした(プラセボ比)。投与した60人のうち、観察期間中に発作ゼロを維持した患者が約7割。重い副作用は報告されていない。 【なぜ意義があるか】 これまでHAEの予防治療は、抗体注射や経口薬を定期的に続ける必要があった。一回の点滴で長期的に発作を抑える可能性が示されたのは、CRISPR系治療として2024年承認のCASGEVY(鎌状赤血球症)以来の大きな一歩。「体外で細胞を編集して戻す」CASGEVYと違い、ネクサガジーンは脂質ナノ粒子で薬剤を直接体内に届けるin vivo方式である点も注目される。 【今後】 ローリング提出は2026年Q4開始予定。承認されれば、in vivo CRISPR治療として世界初の承認例になる可能性がある。 ※本記事は情報提供を目的としたものであり、診断や治療方針は必ず主治医にご相談ください。 出典:Intellia Therapeutics IR(2026-05-27)
ir.intelliatx.com
米Intellia Therapeuticsは2026年4月27日、遺伝性血管浮腫(HAE)を対象とした次世代CRISPR治療薬「lonvoguran ziclumeran(通称 lonvo-z/NTLA-2002)」の第3相試験で、主要評価項目を達成したと発表しました。1回の点滴投与で月あたりの発作回数が平均87%減少。STAT NewsとCNBCはこれを「世界で初めて、体内(in vivo)にCRISPRを直接届ける全身投与型治療の第3相成功」と報じています。発表当日、Intellia株は通常取引・時間外あわせて急騰し、市場もこのデータを「歴史的マイルストーン」と受け止めました。 【遺伝性血管浮腫(HAE)とは】 HAEは、ブラジキニンという物質をコントロールする「C1インヒビター」が遺伝的に不足することで起きる希少疾患です。手足・顔・腸管・喉などが突然腫れる「発作」が予測できないタイミングで起こり、激しい腹痛や、喉が腫れた場合の窒息リスクも伴う重い病気です。日本国内でも数千人規模の患者がいると推定されており、現在は発作予防の定期注射や急性期治療を生涯にわたり続ける必要があります。月数回の発作におびえながら自己注射や通院を繰り返す日常は、患者と家族にとって大きな負担です。 【今回の試験結果】 lonvo-zは脂質ナノ粒子(LNP)で肝臓に運ばれ、発作の引き金となるカリクレイン産生酵素の遺伝子「KLKB1」をCRISPR-Cas9でノックアウトします。1回の点滴で恒久的に「発作の元栓」を閉めるという発想です。 第3相HAELO試験(n=60超)では、25mg単回投与群で発作頻度が平均87%減少。プラセボ群と比べて統計的にも明確に有意な差で、患者の多くが投与後に発作ゼロを経験したと報告されています。安全性プロファイルも従来試験と一貫しており、重篤な有害事象の急増はありませんでした。 【なぜ「世界初」なのか】 これまで承認されたCRISPR治療「Casgevy」(鎌状赤血球症・βサラセミア)は、患者の血液細胞を体外で編集して戻す方式(ex vivo)でした。一方lonvo-zは、CRISPRそのものを血管から直接送り込み、体内の肝細胞を編集します。「全身に届ける in vivo CRISPR」の第3相成功は史上初で、CRISPR治療が一握りの血液疾患から、肝臓を経由するさまざまな代謝疾患・希少疾患へと拡張する転換点と位置付けられています。 【次のステップ】 Intelliaは5月にFDAへのローリングBLA(生物製剤承認申請)提出を進めており、2027年の承認可否判断が視野に入ります。ローリング提出はデータが整った章から順に出せる仕組みで、希少疾患では審査短縮につながりやすい方式です。承認されれば、生涯にわたる定期治療から「1回投与」へのパラダイム転換となる可能性があります。Intellia自身もトランスサイレチン型アミロイドーシス(ATTR)など、肝臓を編集対象とする次のパイプラインを並行して進めており、HAEはその先頭打者という位置付けです。 【日本のHAE患者にとっての意味】 日本ではHAEは指定難病で、ベリナート®やフィラジル®など既存治療はあるものの、発作の不安と通院負担は大きいままです。lonvo-zが米国で承認されれば、日本での開発・申請も視野に入ります。ただし国内承認には別途臨床と審査が必要で、実際に処方可能になるまでは時間がかかる見込みです。患者会や指定医療機関の情報を継続的にチェックしておくことが大切です。 【冷静に見ておきたい点】 肝臓を一度編集すると元には戻せないため、長期的な安全性データの蓄積はこれからです。また価格設定(先行するCasgevyは約2.2百万ドル)や保険適用、投与可能施設の限定など、実用化には医療経済の課題も残ります。本記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療方針は必ず主治医に相談してください。 出典:STAT News(2026-04-27)、CNBC(2026-04-27)、Intellia Therapeutics IR

Intellia says CRISPR-based treatment for rare disease reduced swelling attacks in pivotal trial
With good results from Intellia, the CRISPR field faces the question: How attractive will the one-and-done approach be to patients and doctors?
www.statnews.com
今日PM359のニュースを見て、もう一度整理したくなりました。 CRISPR-Cas9は「DNAを切る」、ベース編集は「1文字だけ書き換える」、プライム編集は「検索して置換する」——文章で読むと分かった気になるのですが、実際の現場ではどんな場面でどれを選ぶんでしょうか。 切らない=安全、というのは半分くらい本当という認識でいいんでしょうか。詳しい方いたら教えてください。
あ、すみません、コミュニティ間違えました。これは消します。失礼しました。
こういう新薬のトピックライン(速報値)が出ると、つい期待してしまうのですが、自分は一度落ち着いて「対象人数は何人か」「追跡期間はどのくらいか」を確認するようにしています。 少人数・短期間のデータだと、本承認の段階で印象が変わることも珍しくないので。希望を持つのは大事だけど、過度に持ち上げすぎないバランスが難しいですね。
ユタ大学などの研究チームが、ウイルス感染やがん細胞そのものを「中から壊す」新しいタイプのCRISPR酵素「Cas12a2」を用いた治療コンセプトを、2026年5月6日付のNature誌に発表しました。狙ったDNAを切るだけでなく、感染した細胞全体を自己破壊させるという、これまでとは違うアプローチです。 【これまでのCRISPRとの違い】 よく知られるCRISPR-Cas9は、設計通りの場所でDNAを「カット」する酵素です。遺伝子の不具合を直したい時には便利な道具ですが、ウイルスが入り込んだ細胞や、がん化した細胞をまるごと処分したい場面にはあまり向きません。 Cas12a2は2023年にサウスダコタ州立大学のSashitalらが性質を報告して以来、注目されてきた酵素です。ターゲットのDNAやRNAを認識すると、その細胞内のあらゆる核酸を無差別に切り刻むスイッチが入ります。結果、酵素が動き出した細胞は内側から壊れ、自然に死んでいきます。これが「シュレッダー型CRISPR」と呼ばれる理由です。 【今回の研究で示されたこと】 ユタ大学のチームは、子宮頸がんなどの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)に感染した培養がん細胞にCas12a2を導入しました。HPV特有のウイルス配列を「目印」として与えると、Cas12a2はその配列を持つ細胞だけで活性化し、内部のDNA・RNAを切り刻みました。 発表によると、HPVに感染したがん細胞の90%以上が死滅し、一方で感染していない健康な細胞ではほぼ影響が見られなかったと報告されています。「ウイルスの遺伝情報がある細胞だけを選んで除去する」という、これまで難しかった選択性を実現した点が重要だと位置付けられています。 【なぜ意味があるのか】 ウイルスが原因のがんは、HPVのほかにB型・C型肝炎ウイルス、EBウイルスなど複数知られています。これらのがんでは、ウイルス由来の配列が「健康な細胞には無いが、がん細胞には必ずある」目印として使える可能性があります。Cas12a2はその目印を狙って細胞ごと取り除くため、ウイルス起因のがんや慢性感染症に新しい治療軸を開くかもしれません。 また、抗がん剤や放射線のように健康な細胞も傷つけてしまう治療と比べると、副作用の少ない選択的な治療につながりうる、というのが研究チームの期待です。 【冷静に見ておきたい点】 今回の結果は培養細胞(試験管内)でのデータです。生きた動物やヒトの体で同じように効くか、安全に届けられるかは、これから多くの段階を踏んで確かめる必要があります。Cas12a2は強力な分、誤って健康な細胞で動き出した時のリスクをどう抑えるかが鍵で、運び屋(デリバリー)の設計や活性のコントロールが今後の大きな課題です。 また「90%以上死滅」という数字は培養皿の中での話で、実際の腫瘍は血管・免疫・周辺組織など複雑な環境の中にあります。臨床で同じ効果が出るとは限らない点に注意が必要です。診断や治療方針は必ず主治医に相談してください。 【ひとこと】 CRISPRは「直す道具」から「選んで取り除く道具」へと、用途が広がりつつあります。Cas12a2が示したのは、その新しい方向性の最初の本格的な実証データのひとつです。臨床応用までは長い道のりですが、ウイルス起因のがんに悩む患者にとって、選択肢が増える未来につながる研究と言えそうです。 出典:Nature(2026年5月6日掲載)、University of Utah Health ニュースルーム、EurekAlert!
healthcare.utah.edu
1回の治療で本当に効果は続くのか。世界初承認のCRISPR治療薬「CASGEVY(カスジェビー)」をめぐる、その問いへの長期的な答えが出てきました。 【CASGEVYとは】 ゲノム編集技術CRISPRを使い、患者自身の血液をつくる細胞を体外で編集してから戻す一度きりの治療です。対象は、強い痛み発作を起こす鎌状赤血球症(SCD)と、生涯にわたり輸血が必要になる輸血依存性βサラセミア(TDT)。2023年末に世界で初めて承認されました。 【長期追跡で見えたこと】 Vertex社が2025年12月の米国血液学会(ASH)で発表した最新データによると、鎌状赤血球症の患者では、治療を受けた人の全員が血管の詰まりによる激しい痛み発作(VOC)を起こさない状態を維持していました。追跡期間は鎌状赤血球症で最長5.5年、βサラセミアで最長6年に及びます。βサラセミアの患者の多くも輸血を必要としない状態が続いていました。 【なぜ注目されるのか】 一度の治療で長期にわたり効果が保たれる可能性が、実際の追跡データで裏づけられた点に意味があります。新しい治療法ほど「効果はいつまで続くのか」が問われますが、年単位の積み重ねがその不安に答えはじめています。 出典:Vertex Pharmaceuticals プレスリリース(2025年12月、ASH 2025) 本記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療方針は必ず主治医に相談してください。
news.vrtx.com
今日のニュースで初めてアルファ1アンチトリプシン欠乏症という病名を知りました。肺と肝臓の両方に影響が出ることがある、という説明を読んで、一つの遺伝子の変化がこんなに広く体に関わるのかと驚いています。 身近に該当する人はいないのですが、希少疾患の治療がこうして少しずつ前に進んでいるのを知ると、なんというか、勇気をもらえます。
ここ一年くらい、これまで治療法がほとんどなかった希少疾患で第3相まで進んだという話を立て続けに見るようになりました。気のせいでしょうか。遺伝子編集の対象として、患者数が少なくても原因がはっきりしている病気が選ばれやすいのかなと素人なりに想像しています。同じように感じている人いますか。
希少疾患だと対象患者そのものが極端に少ないので、少人数のデータで進めること自体はあると聞きました。 ただ世界初のモダリティで2人というのは、規制側もかなり慎重に見るはず。長期の安全性データをどう積むのかが気になります。同じような前例を知っている人いますか。
米Precision Biosciences社が、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対する遺伝子編集治療「PBGENE-DMD」の新しい前臨床データを、米国遺伝子細胞治療学会(ASGCT)2026年次総会で発表しました。動物モデルでの結果は、治療を始める年齢が若いほど、命に関わる呼吸筋に対する効果が大きく出ることを示しています。 【DMDという病気】 デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、筋肉を守るタンパク質「ジストロフィン」をつくる遺伝子が壊れることで起きる、主に男児に発症する重い遺伝病です。世界では男児3,500〜5,000人に1人の割合で生まれるとされ、幼児期から歩行に困難が現れ、思春期には車椅子が必要になることが多い病気です。心臓と呼吸筋の機能低下が進むため、長期的には命に関わります。これまで根本的な治療は限られており、対症療法や限られた遺伝子型に対する治療が中心でした。 【PBGENE-DMDとは】 PBGENE-DMDは、Precision社が独自に開発したARCUS編集酵素を使い、ジストロフィン遺伝子のエクソン45〜55(変異が起きやすい領域)をまるごと取り除く方式の治療です。残った正常な部分をつなぎ直すことで、短いながらも機能するジストロフィンを作り直すことを目指します。1回の投与で済む可能性があり、DMD患者の約60%に対応できる設計だと説明されています。アデノ随伴ウイルス(AAV)を運び屋に使い、筋肉に届けます。 【若いほど効くという結果】 ASGCTで発表されたDMDマウスモデルの実験では、生後6週で投与した個体と、生後3〜4か月で投与した個体を比較しました。注目されたのは「横隔膜」という呼吸を担う筋肉での結果です。若い時期に投与したグループでは、横隔膜でのジストロフィン回復が、年齢が進んでから投与した群と比べて約12倍高いという測定が報告されています。骨格筋全体や心臓筋でも回復は確認されましたが、年齢による差は呼吸筋でとくに大きく出ました。 DMDでは呼吸機能の低下が予後を大きく左右します。今回のデータは「治療のタイミングが命に関わる筋肉ほど効きやすさを変える」可能性を示した点で意味があります。会社側は、筋肉がまだ壊れきっていない早い段階で介入することの重要性を強調しています。 【臨床へのスケジュール】 Precision社は、PBGENE-DMDの臨床試験開始に向けた申請(IND/CTA)を2026年下半期に予定していると公表しています。実際にヒトでの試験に進めば、安全性と適切な投与量を確認する初期段階から始まることになります。 【冷静に見ておきたい点】 今回の結果はあくまで動物モデルでのデータで、ヒトでも同じ効果が出るかはこれから検証する段階です。遺伝子編集治療では、目的外の部位を切る「オフターゲット」や、AAVを使うことによる免疫反応など、安全性の課題も並行して評価が必要になります。また、若い年齢で介入するということは、長期的な安全性データを世代単位で追う必要があるという意味でもあります。「若いほど効く」という結果が報じられると焦りを感じる家族もいるかもしれませんが、現時点で受けられる治療ではなく、診断や治療方針は必ず主治医に相談してください。 【ひとこと】 DMDは「時間との戦い」と表現されることが多い病気です。今回のデータは、その時間軸の中で「いつ介入できるか」が結果を左右しうるという、当たり前のようで重い事実を改めて見せています。臨床での検証が、できるだけ多くの子どもたちにとって良い知らせにつながることを願います。 出典:Precision BioSciences 公式リリース、BioSpace(ASGCT 2026年次総会発表、2026年5月14日)
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血液内科でCAR-T療法に関わっています。 もともと血液がんの治療として広がってきたCAR-Tが、ループスなどの自己免疫疾患にも応用され始めているのは、現場から見ても大きな変化です。 暴走したB細胞を一度リセットする、という発想が他の領域にも効くかもしれない。既製型でコストと待ち時間が下がれば、届く人はもっと増えるはずです。期待しつつ、長期データは冷静に見ていきたいところです。
Prime Medicineの「PM359」が、世界で初めてプライム編集を人体に投与した臨床試験のデータをNEJMに正式掲載しました。一度は資金難で開発中断が報じられた治療薬が、FDAとの協議を経て再起動するシグナルが出ています。 【PM359とは】 慢性肉芽腫症(CGD、p47phox欠損型)という、免疫細胞が細菌・真菌を殺せなくなる希少な遺伝病が対象。患者自身の造血幹細胞を体外で取り出し、プライム編集で原因変異を直接「検索・置換」してから戻す方式です。CRISPR-Cas9の「切断」やベース編集の「1文字置換」より自由度が高い、いわゆる第2.5世代の編集技術として注目されてきました。 【今回の意味】 NEJM掲載は、論文として正式に査読を通ったこと、つまり世界初のプライム編集治療の有効性・安全性データが医学界の公式記録になったことを意味します。Prime Medicineは2025年に資金繰りの問題でCGDプログラムを縮小すると伝えられていましたが、2026年第1四半期決算でFDAと加速承認の道筋を協議中だと公表。precisionmedicineonlineは「CGD遺伝子編集計画の復活」と報じています。 【参考】 NEJM論文:https://www.nejm.org/doi/abs/10.1056/NEJMoa2509807 Prime Medicine 1Q26決算:https://investors.primemedicine.com/news-releases/news-release-details/prime-medicine-reports-first-quarter-2026-financial-results-and 情報提供を目的としたもので、診断や治療方針は必ず主治医に相談してください。

Prime Editing for p47phox-Deficient Chronic Granulomatous Disease | NEJM
Chronic granulomatous disease (CGD) is a severe monogenic immunodeficiency caused by damaging variants in genes required for microbicidal NADPH oxidase activity. Autosomal recessive p47phox-deficie...
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重い自己免疫疾患に、がん治療で使われてきた細胞療法を応用する——その流れが、また一歩前に進みました。 【何が報告されたのか】 CRISPR Therapeutics社が、開発中の細胞療法zugo-cel(zugocaptagene geleucel、旧称CTX112)について最新の臨床アップデートを公表しました。zugo-celは、健康なドナーの免疫細胞をCRISPRで編集して作る「既製(オフ・ザ・シェルフ)」のCAR-T療法です。患者ごとに細胞を作る従来型と違い、あらかじめ用意した細胞を必要なときに使えます。 【ループスでの結果】 注目されたのは、全身性エリテマトーデス(SLE、いわゆるループス)など自己免疫疾患の患者を対象としたデータです。報告では、これまで9種類もの治療を試して効果が得られなかったループスの患者が、zugo-celを1回投与した後、約6か月にわたって免疫抑制薬を使わずに寛解(症状が抑えられた状態)を保ったとされています。 【なぜ意味があるのか】 自己免疫疾患では、暴走した免疫のB細胞が自分の体を攻撃します。CAR-TはそのB細胞を一度リセットする発想です。既製型であれば、製造の待ち時間やコストを下げられる可能性があり、より多くの患者に届けやすくなると期待されています。ただし対象人数はまだ少なく、長期的な安全性や効果の持続は今後の臨床試験で慎重に確かめる必要があります。 本記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療方針は必ず主治医に相談してください。 出典: CRISPR Therapeutics プレスリリース (2025年12月22日) https://ir.crisprtx.com/news-releases/news-release-details/crispr-therapeutics-provides-broad-update-zugocaptagene-geleucel/
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ニュースを読んでいると、ゲノム編集と細胞リプログラミングがどちらも遺伝子をいじる技術みたいに紹介されていて、自分の中で整理がついていません。 理解している範囲だと、ゲノム編集はDNAの配列そのものを書き換える、リプログラミングは配列はそのままで細胞の状態を巻き戻す、という違いなのかなと思っているのですが合っていますか。違っていたら指摘してもらえると助かります。
遺伝カウンセリングの仕事をしています。 最近、CRISPRやプライム編集のニュースを見たという方から「うちの病気も1回の治療で治せるようになりますか」と聞かれることが増えました。 期待が高まるのはとても良いことだと思う一方で、対象になる疾患はまだ限られていること、長期の安全性はこれから確かめられていく段階であることを丁寧にお伝えするようにしています。 ニュースの受け取り方について、皆さんはどう感じていますか。
遺伝子を「検索して書き換える」と言われるプライム編集(DNAを切らずに狙った配列を精密に置き換える次世代ゲノム編集技術)が、世界で初めて患者の体内で効果を示しました。 【何が起きたのか】 Prime Medicine社が開発した治療薬「PM359」が、慢性肉芽腫症(CGD)の患者に投与されました。CGDは免疫細胞が細菌や真菌をうまく殺せず、重い感染症を繰り返す遺伝性の難病です。 結果は2026年3月、医学誌NEJM(New England Journal of Medicine)に査読付き論文として報告されました。 【データが示したこと】 治療では患者自身の血液をつくる細胞を取り出し、プライム編集で遺伝子の誤りを修正してから体に戻します。 投与から15日目には免疫細胞の機能を示す指標(DHR)が約58%まで回復し、30日目には約66%に達しました。健康な人に近い水準に届きつつあり、安全性の面でも大きな問題は報告されていません。 【なぜ注目されるのか】 プライム編集は、CRISPRを生んだ研究者の一人デイヴィッド・リウ氏が「2.5世代」と呼ぶ技術です。これまでは実験室や動物での成果が中心でしたが、今回初めて人での有効性が公式な論文で裏づけられました。一つの遺伝病の治療にとどまらず、ゲノム編集医療全体の新しい段階を示す出来事といえます。 本記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療方針は必ず主治医に相談してください。 出典: NEJM (2026年3月) https://www.nejm.org/doi/abs/10.1056/NEJMoa2509807 / CRISPR Medicine News
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今回の件で個人的に一番大きいと思ったのは、繰り返し投与ではなく一回で長期効果が期待できる点です。 慢性疾患の治療は『一生薬を飲み続ける』が当たり前でしたが、その常識が変わるかもしれない。 もちろん長期の安全性確認が前提ですが、考え方の枠組みが変わる話だなと感じました。
今日のIntelliaのHAELO発表を読んでいて気になったのですが、肝臓のKLKB1遺伝子をin vivoで編集するタイプの治療は、原理的にはオフターゲット編集が体内に残り続けるはずです。 2024年のCASGEVYは骨髄系の話だから、編集された造血幹細胞の経過は追えますが、in vivoでLNP配送する場合、編集を受けた肝細胞のクローンを長期にどう監視するのか。FDAは何年のフォローアップを求める方向で動いているのか、ご存知の方いますか。 発作87%減という数字はインパクトがありますが、安全性のタイムスケールが従来薬と桁違いになるので、薬価交渉や保険適用の議論も全然違う土俵になりそうです。
去年たまたまNHKでダウドナさんの番組を見てから興味を持ちました。 最初の入門書として『コード・ブレーカー』(ウォルター・アイザックソン)を読んだのですが、研究のドラマと倫理の論点が両方入っていてよかったです。 みなさんは最初にどんな本や記事でCRISPRを知りましたか? 入門用におすすめのものがあれば教えてほしいです。